労働行政から年金機構への情報提供
最近はUber Eatsの配達員が労働組合を結成するなどフリーランスでも労働者性を争う場面が増えてきました。個人的にはフリーランスは指揮監督下の労働や使用従属性の程度が低く労働者性はないケースがほとんどだと感じますが、自分が監督署時代に建築業の一人親方の孫請けが労働者性ありとされ親方が指導対象となったケースもあり、想像以上に労働者性ありと認定されるケースはあるのかもしれません。
パート労働者に対する「社会保険の適用拡大」は今までも進められてきたなか、フリーランスに対する同様の適用拡大の動きが進んでいます。例えば、令和5年3月31日に労働基準局長から労働局長および日本年金機構理事長あてに発せられた通達により、フリーランスにも社会保険適用の動きが出てきました。(基発0331第52号 年管発0331)
通達の要旨は下記の2点です。
その1 フリーランスが労働基準監督署で労働相談して、労働基準監督署が労働者と判断した場合は年金機構へ情報提供すること
その2 上記情報提供は労働保険徴収室にも行われ、労働保険徴収室は年金機構からの合同調査依頼に応じること
フリーランスだから労働者ではない、とは限らず実質的に労働者と認めた場合は、賃金不払い等の指導監督が行われるだけでなく、年金機構からも社会保険の立ち入り調査の可能性があるということです。
法人企業または5人以上の労働者を使用する個人事業は「強制適用事業」として社会保険が適用されますので最長2年遡って保険料負担が発生する場合があります※個人事業は一次産業・サービス業・宗教の例外あり
今後、社会保険の立ち入り調査は労働局との合同調査として行われることがあります。フリーランスに委託業務契約を締結して適用逃れをしていた事業主には厳しい通達となりそうです。